こんにちは。群馬県みどり市大間々町の「かとう歯科」院長の加藤です。

冷たい水を飲んだとき、冷たい風が当たったとき、歯みがきのたびに「キーン」としみる感覚が続いていると、

「これは知覚過敏なのか、それとも虫歯なのか」
「もう少し様子を見てもいいのか、今すぐ歯医者に行くべきなのか」

と悩まれる方が多くいらっしゃいます。

歯がしみる症状には、いわゆる知覚過敏だけでなく、虫歯や歯周病、噛み合わせの問題など、さまざまな原因が隠れていることがあります。放っておいてよいものもあれば、早めに対応しないと歯の寿命に影響するものもあります。

この記事では、一般的な知覚過敏の考え方と虫歯との違い、受診の目安、歯科医院での診査やケアの流れ、自宅での注意点について、歯科医師の立場からできるだけ分かりやすく整理してお伝えします。群馬で「歯がしみる」症状にお悩みの方が、受診のきっかけや判断材料として活用していただければ幸いです。

目次

• 1　知覚過敏とはどのような状態か
• 2　虫歯の痛みとの違い
• 3　歯がしみるときに考えられる主な原因
• 4　放置してよいケースと受診した方がよいケース
• 5　歯科医院で行う診査と治療の進め方
• 6　自宅でできるケアと、気をつけたい自己判断
• 7　まとめ　歯がしみるサインを上手に活かすために

1　知覚過敏とはどのような状態か

知覚過敏は、歯そのものが割れていたり、大きな虫歯の穴が空いているわけではないのに、冷たいものやブラシの刺激で一時的に「ツーン」「キーン」としみる状態を指します。

歯の表面はエナメル質という硬い層で覆われていますが、その内側には象牙質があり、その中には神経につながる細い管が多数通っています。何らかの理由でこの象牙質が露出したり、防御機能が弱くなったりすると、温度やブラシなどの刺激が神経に伝わりやすくなり、知覚過敏として感じると考えられています。

具体的には、強すぎるブラッシングによる歯ぐきの退縮、歯ぎしりや食いしばりによる歯のすり減り、酸性の飲食物の摂り方の影響など、生活習慣と結びついた要因が多く認められます。

知覚過敏は、適切なケアにより症状が落ち着くこともありますが、「本当に知覚過敏だけなのか」「その奥に別のトラブルがないのか」を見極めることが大切です。

2　虫歯の痛みとの違い

歯がしみるとすぐに「虫歯ではないか」と心配される方が多いのですが、知覚過敏と虫歯には、痛み方にいくつかの違いがみられることがあります。

知覚過敏の場合
冷たいものやブラッシングなど、特定の刺激が加わった瞬間だけ、短く鋭い痛みが走り、刺激がなくなればすぐに落ち着くことが多いです。夜中に何もしなくてもズキズキ続くようなことは比較的少ないとされています。

虫歯が進行している場合
初期の虫歯では自覚症状が乏しいこともありますが、ある程度進むと冷たいものや甘いものにしみるようになります。さらに進行すると、温かい物でもしみたり、何もしなくてもズキズキと痛んだり、噛んだときに響くような痛みを感じることもあります。

ただし、現場では「しみ方の特徴だけで完全に区別できる」ということはありません。知覚過敏だと思っていても、その根本に虫歯や歯周病が隠れている場合もあれば、逆に虫歯を疑って受診された方が、検査の結果知覚過敏が主な原因だった、ということもあります。

症状の出方は個人差が大きいため、「知覚過敏か虫歯か、自分で診断しよう」とするより、「少し続くようなら一度調べてもらおう」というくらいの気持ちで相談していただくのが安全です。

3　歯がしみるときに考えられる主な原因

歯がしみる原因は、知覚過敏と虫歯だけではありません。いくつか代表的なものを挙げると、次のようなものが考えられます。

歯ぐきの退縮
長年のブラッシングの癖や、歯周病の影響などで歯ぐきが下がると、もともと歯ぐきに覆われていた歯の根元部分が露出します。この部分はエナメル質より柔らかく、刺激に敏感なため、冷たいものやブラシだけでしみることがあります。

噛み合わせの負担
歯ぎしりや食いしばり、特定の歯に力が集中しやすい噛み合わせなどにより、歯に細かなヒビが入ったり、歯の表面が欠けたりすると、そこから刺激が伝わりやすくなります。見た目では分かりにくい小さな変化でも、本人は強いしみを感じることがあります。

詰め物や被せ物の適合の問題
過去に治療した歯の詰め物や被せ物の隙間から虫歯が進行していたり、微妙な段差により刺激が加わりやすくなっている場合もしみる原因になります。金属が入っている場合は、温度変化を感じやすくなることもあります。

歯周病
歯ぐきの腫れや出血、歯を支える骨の吸収が進む歯周病でも、歯の周りの組織が不安定になり、噛んだときや冷たいものが当たったときにしみることがあります。歯のぐらつきが出てくると、噛むたびに歯がわずかに動き、その刺激が痛みとして出てくることもあります。

このように、「歯がしみる」という一つの症状の裏側には、複数の要因が絡んでいることが少なくありません。原因によって対処法が変わってくるため、まずは現状を知ることが治療や予防の第一歩になります。

4　放置してよいケースと受診した方がよいケース

「しみるけれど、忙しくてなかなか歯医者に行けない」という声もよく伺います。とはいえ、どこまで様子を見てよいのか、どこからが受診の目安なのかは悩ましいところだと思います。

一般的な目安として、次のような場合は受診をおすすめします。

・しみる症状が二週間以上続いている
・しみる歯が少しずつ増えてきている、範囲が広がっている
・冷たいものだけでなく、温かいものや甘いものでもしみる
・夜間や安静時にもズキズキするような痛みが出てきた
・歯ぐきの腫れや出血、歯のぐらつきなど、他の症状も気になる

また、「定期検診でしみることを相談してみる」のも良いタイミングです。痛みが強く出てから慌てて受診するより、軽い違和感の段階で一度チェックしておいた方が、結果的に歯への負担を抑えられることが少なくありません。

一方で、「ここ数日だけ、冷たいものを飲んだときだけ一瞬しみる程度」という軽い症状であれば、ブラッシング方法の見直しや、刺激の少ない歯みがき剤の使用で落ち着いてくることもあります。ただし、その場合でも、定期検診のときには必ず歯科医師や歯科衛生士に伝えていただきたいと思います。

5　歯科医院で行う診査と治療の進め方

かとう歯科では、「しみる」という訴えがある場合、まずはどの歯が、どのようなタイミングで、どのくらいの強さでしみるのかを詳しく伺います。そのうえで、次のような流れで診査を進めていきます。

口の中の視診と触診
しみていると感じる部位だけでなく、お口全体を確認し、歯の欠けやすり減り、歯ぐきの状態、詰め物や被せ物の縁の状態などをチェックします。

レントゲン写真などによる確認
必要に応じてレントゲン写真を撮影し、肉眼では見えない部分の虫歯や骨の状態を確認します。知覚過敏に見える症状の裏に、深い虫歯が隠れていることもあるためです。

冷水や風を使った反応の確認
しみる刺激の種類や持続時間を確かめるために、歯科用の器具で軽く刺激を与え、その反応で神経の状態を推測することがあります。

これらを踏まえ、知覚過敏が主な原因と考えられる場合には、ブラッシング指導や知覚過敏用の薬剤の塗布、しみ止め効果のある歯みがき剤の選び方のアドバイスなど、比較的負担の少ない方法から始めていきます。噛み合わせが影響している場合は、接触している歯の高さを少しだけ調整することもあります。

虫歯や歯周病が見つかった場合は、その程度や範囲に応じて、どの順番で治療していくか、どの程度の期間と回数がかかりそうかを説明したうえで、一緒に治療計画を立てていきます。

6　自宅でできるケアと、気をつけたい自己判断

知覚過敏の症状がある方に共通してお伝えしているのは、「強く磨き過ぎないこと」と「頻度や時間を味方につけること」です。

歯ブラシを歯に押しつける力が強すぎると、歯ぐきが少しずつ下がり、知覚過敏を悪化させることがあります。力を入れなくても汚れを落とせるよう、毛先の硬さやヘッドの大きさを選び直すだけで、症状が和らぐこともあります。

また、歯みがきの回数やタイミングも大切です。「一日に何度も短時間でサッと磨く」のではなく、「一日に二回から三回、特に寝る前は落ち着いて時間を取る」ことが、歯ぐきへの負担を減らしながら清掃効果を高めるポイントになります。

知覚過敏用の歯みがき剤は、象牙質の表面や細い管をコーティングして刺激を和らげる成分が含まれているものもあり、継続して使うことで症状が落ち着くことがあります。ただし、これらはあくまで「しみる症状を和らげる手助け」であり、虫歯や歯周病そのものを治すものではありません。

「知覚改善用の歯みがき剤を使っていれば大丈夫」と自己判断で受診を先延ばしにしてしまうと、気付かないうちに虫歯や歯周病が進んでいた、ということもあり得ます。数週間続けても改善が乏しい場合や、症状が強くなってきた場合は、一度歯科医院で確認することをおすすめします。

7　まとめ　歯がしみるサインを上手に活かすために

歯がしみる症状は、不快で心配なものですが、見方を変えれば「口の中の小さな変化を教えてくれるサイン」とも言えます。

知覚過敏の段階で気づいて対策ができれば、大きな虫歯や歯周病を防げる可能性が高まります。逆に、「たいしたことはないだろう」と先延ばしにしてしまうと、治療の期間や負担が大きくなることもあります。

群馬で「歯がしみる」症状が続いている方は、まずは一度ご自身の生活習慣やブラッシングの癖を振り返ってみてください。そのうえで、不安があれば早めに歯科医院で相談していただくことをおすすめします。

かとう歯科では、症状の有無にかかわらず、現在のお口の状態を丁寧に説明し、治療が必要な部分と予防を中心に見ていく部分を分けてお話しすることを心がけています。「これは知覚過敏なのか、虫歯なのかよく分からない」という段階のご相談でも、遠慮なくお話しください。

みどり市や周辺地域で歯のしみる症状にお困りの方が、少しでも安心して毎日の食事や会話を楽しめるよう、お手伝いができれば幸いです。

群馬県みどり市大間々町にある歯科医院
『かとう歯科』
住所：群馬県みどり市大間々町大間々５６６−１
TEL：0277-46-6480