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歯科健診を後回しにしている方へ|症状が出る前に受診するメリットとは

こんにちは。歯科医師の加藤です。
日々診療をしていると、しばらくぶりに来院された患者さんから、次のようなお話をよく伺います。
「仕事が忙しくて、つい歯医者さんは後回しになってしまいました」
「痛みがなかったので、わざわざ行く必要はないと思っていました」
「前回治療が大変だったので、あの思いをするくらいならもう少し様子を見ようと…」
お気持ちはとてもよく分かります。歯科は「何かあったら行くところ」と感じている方がまだまだ多く、痛くもないのに時間を作って受診するのは、心理的なハードルも決して低くありません。
ただ、歯科医の立場から率直にお伝えすると、むし歯や歯周病は「痛くなってから来てください」とは言いにくい病気です。自覚症状が出る頃には、すでにかなり進行していることも珍しくなく、治療回数や歯への負担も大きくなりがちです。
この記事では、歯科健診を後回しにしがちな方に向けて、症状が出る前に受診することの意味や、実際に健診で何を見ているのか、どのくらいの頻度で通えばよいのかなどを、できるだけ具体的にお話しします。
「健診に行かなければと分かってはいるけれど、一歩が踏み出せない」という方が、少しでも安心して受診のきっかけをつかめるような内容にしたいと思います。
なぜ歯科健診は後回しになりやすいのか
歯科健診が後回しになりやすい理由には、いくつか共通点があります。
一つは、「痛みがない=問題がない」と考えてしまいやすいことです。日常生活に支障がなければ、「今は困っていないから大丈夫だろう」と感じるのは自然なことです。しかし、歯や歯ぐきの病気は、ある程度進行するまで自覚症状が出にくいという特徴を持っています。
もう一つは、「前回の治療の印象」が強く残っている場合です。過去に痛い思いをした、長期間の治療が必要だった、などの経験があると、「またあの思いをするくらいなら、行かないで済むなら行きたくない」と感じる方も多いと思います。
さらに、仕事や家事、育児で毎日が忙しいと、どうしても「今日やらなくても困らない予定」は、後回しの候補に入ってしまいます。歯科健診は、まさにその代表と言えるかもしれません。
私が患者さんにお伝えしたいのは、「健診は、つらい治療を避けるための時間でもある」という視点です。短い時間を定期的に取っていただくことで、結果的に「大掛かりな治療のために何度も通わなければならない」という事態を避けやすくなります。
症状が出てからの治療がつらくなりやすい理由
むし歯や歯周病は、進行の段階によって必要な治療の内容が大きく変わります。
むし歯であれば、ごく初期の段階では「削らずに経過を見る」「フッ素やブラッシング指導で進行を抑える」といった対応が可能なこともあります。しかし、痛みを感じるころには、歯の中の神経近くまで進んでいることが多く、削る量が増えたり、場合によっては神経の治療が必要になったりします。
神経の治療になると、通院回数も増えますし、歯の寿命にも一定の影響があります。痛みが強いと、治療中の負担も大きくなります。
歯周病も同様で、歯ぐきからの出血や腫れ、歯のぐらつきなどを自覚するころには、すでに歯を支える骨の一部が失われていることが少なくありません。この段階になると、軽いクリーニングだけでは追いつかず、より深い部分の清掃や、場合によっては外科的な処置が必要になることもあります。
つまり、「症状が出てから受診する」というスタイルは、「治療が大変になってから受診する」こととほぼ同義になってしまうことがあるのです。これが、歯科医として「できれば症状が出る前に来てください」とお伝えしたくなる理由です。
早期発見で変わるむし歯と歯周病の治療
むし歯は「穴があく前」が勝負
むし歯は、ある日突然穴があくわけではありません。最初は、歯の表面からミネラルが少しずつ抜けていき、白く濁ったように見える「初期むし歯」と呼ばれる状態から始まります。
この段階であれば、しっかりとした歯みがきやフッ素の活用、食生活の見直しなどによって、進行をかなり抑えることが期待できます。場合によっては、削らずに経過観察をしながら管理することも可能です。
ところが、初期むし歯は痛みを感じにくく、ご自分では気づきにくいものです。歯科健診で定期的にチェックしていると、「今は削らずに済むけれど、このままだと将来むし歯になりやすい部分」が見つかり、ケアの重点ポイントを一緒に決めることができます。
少し進行してしまっても、小さなむし歯であれば最小限の削除と詰め物で済み、歯へのダメージは比較的少なく抑えられます。早期発見によって、「削る必要がない、あるいは削るとしてもごく少なくて済む」という選択肢を残せることが、健診の大きなメリットです。
歯周病は「静かに進む病気」として向き合う
歯周病は、歯を支える組織が少しずつ破壊されていく病気です。初期の段階では痛みがほとんどなく、「歯ぐきが少し腫れている気がする」「歯みがきのたびに出血する」といったサインも、「そのうち良くなるだろう」と見過ごされがちです。
実際には、この「なんとなく気になるけれど放置してしまう」期間に、歯ぐきの中で骨の吸収がゆっくり進んでいることがあります。一度失われた骨を元通りにするのは難しく、進行を止めたり、これ以上悪くならないように保つ、という考え方が中心になります。
定期的な健診とクリーニングでは、歯ぐきの状態や歯周ポケットの深さを測り、出血の有無なども確認していきます。早い段階で変化に気づくことで、生活習慣やセルフケアを見直すきっかけを作り、重症化を防ぐことを目指します。
歯周病は、全身の健康との関連も指摘されている病気です。自覚症状がないうちから、継続的に管理していく価値はとても大きいと感じています。
歯科健診で実際にチェックしているポイント
「健診に行っても、あっという間に終わってしまうので、本当に意味があるのか分からない」と感じたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
健診では、限られた時間の中で次のような点を総合的に確認しています。
歯そのものについては、むし歯の有無や初期むし歯の兆候、過去に治療した詰め物や被せ物の状態、噛み合わせのバランスなどを見ています。患者さんの目には「どこも変わっていないように見える」場合でも、エナメル質の変化や細かいヒビ、汚れの付き方などから、将来的なリスクを予測することができます。
歯ぐきについては、腫れや赤み、出血、ポケットの深さ、歯の揺れなどを確認します。同時に、歯石の付き方やプラークの残り方もチェックし、「どの部分がみがきにくく、汚れが溜まりやすいのか」を把握します。
必要に応じて、レントゲン撮影で歯と骨の状態を確認し、肉眼では見えないむし歯や、歯周病による骨の変化も評価します。
こうした情報を踏まえて、「今すぐ治療が必要な部分」「経過観察でよい部分」「セルフケアを頑張れば守れる部分」に整理し、その方ごとに重点を置くポイントをお伝えしていきます。
どのくらいの頻度で健診に通うとよいのか
受診頻度の目安は、年齢やお口の状態、生活習慣によって異なりますが、一般的には半年に一度程度を勧めることが多くなります。歯周病リスクが高い方や、むし歯のなりやすさが強い方、治療した歯が多い方などは、三か月ごとの管理が適している場合もあります。
大切なのは、「何かあったときだけ行く」という受診スタイルから、「何も起きないように整えていくために行く」という発想に少しずつ切り替えていくことです。
一度診察してお口の状態が分かれば、その方にとっての適切な間隔を一緒に決めることができます。最初から理想的な頻度を目指す必要はありませんので、「ここまでは頑張れそうだ」と感じるラインを主治医と相談しながら探していければよいと思います。
歯科健診のときによくある不安と誤解
健診をためらう理由には、「行ったらすぐに削られてしまうのでは」という不安も含まれていることが多いです。
当院では、むし歯や歯周病を見つけたときも、いきなり治療を始めるのではなく、まずは現状と治療の選択肢を丁寧にお伝えすることを大切にしています。初期むし歯や軽度の歯周炎など、状況によっては「削らずに経過を見ながら、まずはセルフケアとクリーニングを徹底してみましょう」という判断になることも少なくありません。
もう一つの誤解は、「健診で何も言われない=通う意味がない」という考え方です。何も問題が見つからない健診は、むしろ理想的な結果です。その状態を維持するために、今のケアを続けていきましょう、という確認の時間でもあります。
健診に来たからといって、必ず何か治療が始まるわけではありません。むしろ、「大きな治療が必要になる前に、歯科医に現状を見てもらっている」という安心につながる時間と考えていただけるとよいのではないでしょうか。
忙しい方でも健診を続けるための工夫
忙しい毎日の中で歯科健診を続けるためには、いくつかの工夫が役立ちます。
一つは、「健診の予約を、次回分までその場で取ってしまう」ことです。自分のスケジュール帳に、半年後や三か月後の予定としてあらかじめ組み込んでおくと、「時間ができたら考える」という状態よりも、通院が途切れにくくなります。
もう一つは、「健診を、家族や自分の健康チェックの一部として位置づける」ことです。人間ドックや健康診断と同じように、「年に一度は必ず」「この時期は歯のメンテナンス」といった形で、生活のリズムに組み込んでしまうと、習慣として定着しやすくなります。
治療が続いている期間は、「ここを乗り越えれば、あとは健診とクリーニングだけで済む状態を目指そう」とゴールを共有しておくと、モチベーションの維持にもつながります。
まとめ|「何かあってから」ではなく「何もないうち」に
歯科健診は、「今、困っている症状がない方」にこそ受けていただきたいものです。
むし歯や歯周病は、静かに進行する病気です。痛みや腫れが出てからでは、どうしても治療の負担が大きくなり、歯を守る選択肢も限られてしまうことがあります。
症状が出る前に受診することで、削らずに済む可能性が広がり、もし治療が必要になっても、より小さな処置で済むことが期待できます。結果として、通院回数や費用、精神的な負担を減らすことにもつながります。
「最近歯医者さんに行っていない」「前の治療からかなり時間が空いてしまった」と感じている方は、それ自体を責める必要はありません。気づいたタイミングが、その方にとっての「一番早いタイミング」です。
一度現状を確認しておくことで、これから先の数年、数十年にわたるお口の健康の土台づくりが始まります。
群馬県みどり市で、歯科健診やお口のメンテナンスについて相談できる歯科医院をお探しの方は、かとう歯科へお気軽にご相談ください。現在の状態を丁寧に確認したうえで、無理のない通院ペースやケアの方法を一緒に考えてまいります。
群馬県みどり市大間々町にある歯科医院
『かとう歯科』
住所:群馬県みどり市大間々町大間々566−1
TEL:0277-46-6480


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